「もう塾を辞めたい」
中学受験をしている子どもから、突然このように言われたら、親としてはとても心配になりますよね。
さまざまなことを考えてしまうと思います。
しかし、子どもが「塾を辞めたい」と言ったとき、親がすぐに「続けなさい」と言ったり、反対に「じゃあ辞めよう」と決めたりするのはおすすめできません。
大切なのは、なぜ子どもが塾を辞めたいと思っているのかを確認することです。
28年間、中学受験の指導をしてきた経験からすると、「塾を辞めたい」という言葉の裏には、単純に「勉強したくない」という理由だけではなく、さまざまな事情が隠れていることがあります。
原因によって、親が取るべき対応は変わります。
この記事では、子どもから「塾を辞めたい」と言われたときに、親が確認してほしい5つのポイントについて解説します。
結論|「辞めたい」の一言だけで判断しないことが大切
子どもから「塾を辞めたい」と言われたら、まず確認してほしいのは、
「なぜ辞めたいのか?」
ということです。
特に、次の5つを確認してみてください。
- 塾の勉強についていけているか
- 宿題や勉強量が負担になっていないか
- 成績が下がって自信を失っていないか
- 先生や友達との関係に問題がないか
- 今の塾が子どもに本当に合っているか
「辞めたい」という結果だけを見るのではなく、その原因を一つずつ確認することが大切です。
原因が分かれば、塾を辞めなくても解決できる場合があります。
一方で、いろいろな方法を試しても子どもの負担が大きいのであれば、転塾などを考えることも選択肢になります。
①塾の勉強についていけているか
まず確認したいのが、塾の授業についていけているかどうかです。
例えば、
・授業で先生の説明がよく分からない
・塾で習った問題が家ではほとんど解けない
・宿題をやろうとしても、何をすればいいのか分からない
・テストで以前より点数が取れなくなった
・クラスが下がった
このようなことが続いている場合、子どもが「もう塾を辞めたい」と思ってしまうことがあります。
特に注意したいのは、成績が下がったことそのものより、「自分は勉強してもできない」と子どもが感じてしまうことです。
一度そう感じてしまうと、塾に行くこと自体が苦痛になってしまう場合があります。
この場合、親が「もっと勉強しなさい」と言っても、簡単には解決しません。
まずは、
「どの教科が分からないの?」
「授業のどこから分からなくなった?」
と聞いてみましょう。
そして、必要であれば少し前の単元まで戻って、基礎を確認します。
「塾についていけない」という場合の具体的な確認方法については、こちらの記事も参考にしてください。
→【中学受験】塾についていけない…どうすればいい?親が確認すべき5つのポイント
「辞めたい」という言葉だけで判断せず、まずは「何が分からないのか」を探すことが大切です。
②宿題や勉強量が負担になっていないか
次に確認したいのが、宿題や家庭学習の量です。
中学受験では学年が上がるにつれて、塾の宿題も増えていきます。
子どもによっては、
「塾から帰ってきても宿題」
「学校から帰ってきても宿題」
「土日も宿題」
という生活になり、勉強そのものが大きな負担になってしまうことがあります。
特に、
「毎日宿題が終わらない」
「夜遅くまで勉強している」
「宿題を見るだけで嫌になる」
という状態なら、一度家庭学習の量を見直したほうがよいでしょう。
ここで大切なのは、宿題を全部終わらせることが必ずしも最優先ではないということです。
塾のテキストには、基本問題から発展問題まで、さまざまなレベルの問題が含まれていることがあります。
子どもの現在の学力や志望校によって、優先すべき問題は変わります。
すべての問題を完璧にやろうとして子どもが疲れ切ってしまうのであれば、塾の先生に、
「今の子どもは、どの問題を優先すればいいでしょうか?」
と相談してみましょう。
必要な勉強に絞るだけで、子どもの負担が大きく減ることがあります。
【中学受験】塾のテキストと市販の問題集、どっちをやる?家庭学習で迷ったときの選び方!
③成績が下がって自信を失っていないか

中学受験では、テストの結果やクラス分けによって、子どもの気持ちが大きく左右されることがあります。
特に、
「前より偏差値が下がった」
「クラスが落ちた」
「友達は上のクラスなのに、自分は下のクラス」
といった経験が続くと、子どもが自信を失ってしまうことがあります。
そして、
「どうせ勉強してもできない」
「またテストで悪い点を取る」
「もう塾に行きたくない」
という気持ちにつながることがあります。
このとき、親が、
「もっと頑張らないと合格できないよ」
「このままでは志望校に受からないよ」
と言ってしまうと、子どもはさらに追い詰められてしまう可能性があります。
もちろん、中学受験では努力が必要です。
しかし、努力を続けるためには、「やれば少しできるようになる」という感覚も必要です。
そのため、成績が下がったときこそ、できなかった問題だけを見るのではなく、
「以前はできなかったけれど、今はできるようになったこと」
も確認してあげてください。
例えば、
「計算問題は前より速くなったね」
「この単元はできるようになったね」
「前は解けなかった問題が解けたね」
という小さな変化でも構いません。
子どもが「自分は何をやってもダメだ」と思わないようにすることが大切です。
④先生や友達との関係に問題がないか
「塾を辞めたい」と言ったとき、勉強のことだけを考えてしまう親御さんもいます。
しかし、塾での人間関係が原因になっている可能性もあります。
例えば、
・先生との相性が合わない
・先生に質問しにくい
・友達との関係で悩んでいる
・クラス内で嫌なことがある
などです。
この場合、勉強方法を変えても問題は解決しません。
子どもが話してくれるのであれば、
「勉強が嫌なの?」
「先生が嫌なの?」
「友達関係で何かあった?」
など、原因を分けて聞いてみましょう。
ただし、親が一度にたくさん質問すると、子どもが話したくなくなってしまうこともあります。
最初は、
「塾で何か嫌なことがあった?」
くらいの聞き方でもいいでしょう。
子どもが話し始めたら、途中で否定せずに聞いてあげてください。
そして、必要があれば塾の先生に相談します。
親だけで判断せず、塾側にも状況を確認することが大切です。
【中学受験】塾の面談で「このままでは厳しい」と言われたら?先生の本音と具体策を引き出す「3つの逆質問」
⑤今の塾が子どもに本当に合っているか
ここまで確認しても問題が解決しない場合は、今の塾が子どもに合っているのかを考えてみましょう。
塾には、それぞれ指導方法や授業の進度、宿題の量などに違いがあります。
また、同じ塾でもクラスによって雰囲気や授業内容が異なることがあります。
例えば、
「授業のスピードが速すぎる」
「宿題の量が子どもに合っていない」
「質問しにくい」
「塾の方針と家庭の考え方が合わない」
といった場合です。
このような状態が長期間続いているのであれば、転塾を考えることも一つの方法です。
ただし、私は28年間の指導経験から、「成績が悪くなったから、すぐに転塾」という判断はおすすめしていません。
なぜなら、今の塾でうまくいっていない原因が分からないまま転塾すると、転塾先でも同じ問題が起きる可能性があるからです。
例えば、
「宿題が多すぎる」
という理由で転塾したのに、転塾先でも宿題が多ければ、同じ悩みを抱えることになります。
まずは今の塾で、
「何が問題なのか」
を整理してみましょう。
そのうえで改善が難しいのであれば、転塾を検討すればいいのです。
親がやってはいけない「3つの対応」
子どもから「塾を辞めたい」と言われたとき、親も驚いてしまいます。
しかし、最初の対応はとても重要です。
ここでは、できれば避けてほしい3つの対応を紹介します。
①「何言ってるの。受験するんだから続けなさい」と否定する
子どもが勇気を出して「辞めたい」と言っているのに、最初から否定されると、その後何も話してくれなくなる可能性があります。
まずは、
「そう思うくらい、何か大変なことがあるんだね」
と受け止めてあげてください。
辞めることに賛成する必要はありません。
気持ちを受け止めることと、辞めることを認めることは別です。
②すぐに転塾先を探し始める
子どもが「辞めたい」と言った直後に、親がすぐ別の塾を探し始めるのもおすすめしません。
もちろん、本当に塾を変えたほうがよいケースもあります。
しかし、その前に原因を確認することが大切です。
③勉強量をさらに増やす
成績が悪いからといって、
「もっと勉強すればいい」
と考えてしまうのも危険です。
すでに子どもが疲れているのであれば、勉強量を増やすことで、さらに塾が嫌になってしまう可能性があります。
まずは、現在の勉強の中から、
「何を減らして、何を残すか」
を考えてみましょう。
「辞める・続ける」の二択で考えなくてもいい
塾を辞めるか、そのまま続けるか。
親としては、この二択で考えてしまいがちです。
しかし、実際にはその間にもいろいろな方法があります。
例えば、
・宿題の量を調整する
・取り組む問題のレベルを調整する
・塾の先生に相談する
・クラス変更を相談する
・家庭学習の方法を変える
・苦手教科だけ別の方法でサポートする
などです。
それでも改善しない場合に、初めて転塾を具体的に検討してもいいでしょう。
また、塾の授業だけでは理解が難しい場合には、個別指導や家庭教師など、別の学習サポートを組み合わせる方法もあります。
大切なのは、
「今の子どもに必要な環境は何か」
という視点で考えることです。
まとめ|「塾を辞めたい」の裏側にある原因を見つけましょう
中学受験をしている子どもから「塾を辞めたい」と言われたら、親としては焦ってしまいます。
しかし、すぐに「続けなさい」「じゃあ辞めよう」と結論を出す必要はありません。
まずは、
- 塾の勉強についていけているか
- 宿題や勉強量が負担になっていないか
- 成績が下がって自信を失っていないか
- 先生や友達との関係に問題がないか
- 今の塾が子どもに本当に合っているか
この5つを確認してください。
28年間、中学受験の指導をしてきて感じるのは、子どもが「塾を辞めたい」と言ったとき、その言葉だけで判断してはいけないということです。
その言葉の裏には、
「授業が分からない」
「宿題が終わらない」
「成績が下がってつらい」
「先生に相談できない」
「友達関係で悩んでいる」
など、さまざまな原因が隠れていることがあります。
原因が分かれば、塾を辞めなくても解決できるかもしれません。
反対に、いろいろな方法を試しても子どもの負担が大きいのであれば、転塾や個別指導、家庭教師などを検討することもできます。
大切なのは、**「塾を辞めるかどうか」ではなく、「子どもが中学受験の勉強を続けられる環境になっているか」**です。
子どもから「塾を辞めたい」と言われたときこそ、まずは落ち着いて話を聞いてあげてください。
そして、親子だけで抱え込まず、必要であれば塾の先生にも相談しましょう。
子どもに合った学習環境を見つけることが、中学受験を最後まで乗り切るための大切な一歩になります。

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