「過去問は何年分やればいいのでしょうか?」
6年生の秋になると、こんな質問を保護者の方からよく受けます。
第一志望校なら10年分やるべきなのか。
併願校も5年分くらい必要なのか。
周りの受験生がたくさん過去問を解いていると、「うちの子ももっとやらなければ」と焦ってしまいますよね。
しかし、28年間中学受験を指導してきた経験からお伝えすると、過去問は「何年分やったか」だけで考えないことが大切です。
もちろん、第一志望校と併願校では、取り組む量にある程度の目安があります。
ただし、10年分解くこと自体が目的になってしまい、解いた後の見直しや弱点補強ができなくなれば、せっかくの過去問を十分に活かせません。
この記事では、第一志望校と併願校での過去問の目安と、何年分解くかよりも大切な「過去問の使い方」について解説します。
中学受験の過去問は何年分やればいい?
まず結論からお伝えします。
一般的な目安としては、
- 第一志望校:5~10年分程度
- 第二志望校:3~5年分程度
- それ以外の併願校:2~3年分程度
を考えることができます。
ただし、これはあくまでも目安です。
実際には、
- 志望順位
- 学校の出題傾向
- 子どもの現在の学力
- 過去問に取り組める残り時間
- 1年分を解いた後に十分な復習ができるか
によって変わります。
特に大切なのは、「10年分終わった!」という数を作ることではありません。
過去問を解いたことで、
「この学校はどんな問題を出すのか」
「自分はどこで点数を落としているのか」
「本番までに何を勉強すればいいのか」
が分かることです。
実際に私が指導した生徒たちは10年が一番多いですね。そして上記に書いていることを分析して学力へ変換していきました。
第一志望校の過去問は何年分?

第一志望校は、受験する学校の中でも最も時間をかけて取り組みたいところです。
目安としては、5~10年分程度を考えてよいでしょう。
実際、第一志望校については5年分程度を一つの目安とする考え方や、学校によっては10年分程度まで取り組むという考え方があります。
ただし、ここで注意してほしいことがあります。
「10年分やらなければ合格できない」という意味ではありません。
たとえば、1年分の過去問を解いた後、
- 間違えた問題を分析する
- 解き直す
- 苦手単元を復習する
- 類題を解く
- 次の過去問で確認する
というところまでできていないのに、次々と過去問を進めてしまうのはおすすめできません。
5年分を丁寧に活用したほうが、10年分をただ解き散らかすよりも効果的な場合があります。
実際に指導している生徒たちも5~10年が多いです。
併願校の過去問は何年分?
併願校は、第一志望校と同じ量をこなす必要はありません。
一般的には、3~5年分程度を一つの目安として考えるとよいでしょう。
ただし、併願校の中でも、
「かなり合格可能性が高い学校」
と、
「第一志望校と同じくらい力を入れて対策したい学校」
では必要な対策量が変わります。
例えば、第二志望校が第一志望校と同じくらい重要な学校なら、5年分程度を使ってしっかり傾向を確認する価値があります。
一方、比較的余裕を持って合格を目指せる学校なら、2~3年分程度で出題形式を確認し、必要な対策に絞るという考え方もできます。
受験校すべてを同じ量だけ勉強する必要はありません。
第一志望校に最も時間を使い、併願校は志望順位や合格可能性に応じて調整することが大切です。
過去問は「何年分」より「何を確認するか」が大切
ここが、今回の記事で最もお伝えしたいところです。
過去問を5年分解くとしても、
「5年分終わった」
だけでは、あまり意味がありません。
例えば、1年目の過去問では、
「算数は図形が多い」
「国語は記述が多い」
「理科は計算問題で差がつきそう」
といった学校の特徴を確認します。
次の年度では、
「前の年度と同じような分野が出ている」
「この学校では、このタイプの問題が繰り返し出ている」
ということが見えてくるかもしれません。
さらに解いていくと、
「この学校では、ここを取れないと合格点に届きにくい」
ということも分かってきます。
つまり、過去問には、
「学校の傾向を知る」
という目的があります。
そしてもう一つ、
「自分の弱点を見つける」
という目的があります。
この2つを意識して取り組むことが大切です。
古い年度の過去問まで全部やったほうがいい?

「10年分やる」と聞くと、
「では、10年前の問題まで全部やったほうがいいの?」
と思うかもしれません。
ここも、一律には考えないようにしましょう。
学校によっては長い期間、似た出題傾向が続いていることもあります。
一方で、入試問題の形式や難易度が変化している学校もあります。
特に社会のように時事問題が出題される科目では、古い年度の問題を現在の入試対策としてそのまま扱うことには注意が必要です。学校や科目によって、古い年度をどこまで重視するかは変わります。
ですから、
「10年前だから価値がない」
とも、
「10年前まで全部やらなければならない」
とも言えません。
過去問を見ながら、
「この年度を解くことで、今の自分に何が分かるのか」
を考えてください。
過去問を解く順番はどうする?
過去問を解く順番にも、少し工夫が必要です。
基本的には、比較的新しい年度を大切にすることをおすすめします。
最近の入試傾向を確認するという意味では、最新年度の問題は特に重要です。
ただし、最初から最新年度をすべて使ってしまうと、その後に本番直前の実戦確認をするための問題がなくなってしまうことがあります。
そこで、
「どの年度を最初に使うか」
だけではなく、
「どの年度を最後まで残しておくか」
も考えておきましょう。
例えば、比較的新しい年度を本番に近い状態で解くために残しておき、最初は別の年度で学校の傾向を確認するという方法もあります。
過去問を単純に古い順、新しい順と並べるのではなく、目的に合わせて使い分けることが大切です。
私が担当している生徒、これまで担当してきた生徒も新しい年度順に過去問を解いていき、一番新しい年度を最後に解くというのが一番多いようです。
過去問を何年分やっても成績が伸びない原因
「5年分やったのに、点数が上がりません」
「10年分やったのに、合格最低点に届きません」
ということがあります。
この場合、
「もっと過去問をやらなければ」
と考えて、さらに年度数を増やしたくなるかもしれません。
しかし、まず確認してほしいのは、
過去問を解いた後に何をしているか
です。
例えば、
過去問を解く
↓
丸つけをする
↓
点数を書く
↓
次の年度を解く
これだけになっていないでしょうか。
これでは、過去問を「大量に解く」ことが目的になってしまいます。
大切なのは、
過去問を解く
↓
間違いの原因を分析する
↓
弱点を復習する
↓
必要な類題を解く
↓
次の過去問で確認する
というサイクルです。
過去問の数を増やす前に、1年分をきちんと活用できているかを確認しましょう。
過去問で点数が届かないときは、何年分も追加するべき?

過去問を解いてみたら、合格最低点に届かなかった。
そんなとき、
「もっと過去問を解けば点数が上がるはず」
と考えてしまうことがあります。
しかし、必ずしもそうとは限りません。
例えば、
「計算ミスで8点失っていた」
「知識問題を忘れていた」
「時間配分が悪く、最後の問題までたどり着かなかった」
ということであれば、必要なのは過去問を追加することではなく、その原因を改善することです。
逆に、学校独特の問題形式に慣れていないことが原因なら、さらに過去問を経験することが役立つ場合もあります。
つまり、
点数が低い → 過去問を追加する
ではなく、
点数が低い → 原因を分析する → 必要な対策を決める
という順番にしてください。
過去問で点数が届かない場合の具体的な考え方については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 中学受験|過去問で点数が届かない時に親が知るべき「逆転のコツ」
過去問の直しまでできて、初めて「1年分」が終わる
私は、過去問について保護者の方にお話しするとき、
「解き終わったから1年分終了、ではありません」
とお伝えすることがあります。
問題を解く。
採点する。
間違えた原因を確認する。
必要なら解き直す。
そして、次の学習につなげる。
ここまでやって、初めてその年度の過去問を十分に活用したと言えます。
特に算数では、
「答えを見て分かった」
だけで終わらせず、
「次に同じような問題が出たら、自力で解けるか」
まで確認することが重要です。
過去問の具体的な直し方については、こちらの記事も参考にしてください。
→ 【中学受験】過去問の直し方はこれで決まり!算数が伸びるノート作成術!
親が「何年分やった?」と聞きすぎないことも大切
過去問を始めると、親御さんもどうしても数字が気になります。
「今日は何年分やったの?」
「もう5年分終わった?」
「○○君は10年分やったらしいよ」
という会話が増えてしまうことがあります。
しかし、子どもからすると、過去問の「年数」を増やすことが目的になってしまうことがあります。
それよりも、
「今回の問題で何が分かった?」
「前に間違えたところはできるようになった?」
「この学校の問題って、どんな特徴がある?」
と聞いてあげたほうが、過去問を学習につなげやすくなります。
特に秋以降は、親子ともに焦りやすい時期です。
「何年分やったか」ではなく、「何ができるようになったか」
を見るようにしてください。
まとめ|過去問は「何年分」より「どう使うか」が大切
中学受験の過去問は、
第一志望校なら5~10年分程度、併願校なら3~5年分程度
を一つの目安として考えることができます。
ただし、これは絶対的なルールではありません。
志望順位や学校の出題傾向、子どもの学力、残り時間によって変えていく必要があります。
そして、最も大切なのは、
「何年分やったか」ではありません。
過去問を、
解く
→ 分析する
→ 弱点を見つける
→ 復習する
→ 次の過去問で確認する
というサイクルで使うことです。
28年間、中学受験を指導してきて感じるのは、過去問をたくさん解いた子が必ず伸びるわけではない、ということです。
むしろ、1年分の過去問から「次に何を勉強すればいいのか」をきちんと見つけられる子のほうが、秋から伸びていくことがあります。
「10年分終わらせなければ」と焦る必要はありません。
お子さんの志望順位と学習状況を見ながら、無理なく復習までできる量を設定することが、過去問を合格につなげるための大切なポイントです。

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