夏休み、あれだけ勉強したのに成績が伸びない……
夏休み、毎日一生懸命勉強した。
夏期講習にも通った。
家でも宿題を頑張った。
苦手だった算数にも取り組んだ。
ところが、夏休み明けの模試を受けてみると、
「あれ?思ったほど成績が上がっていない……」
それどころか、偏差値が下がっている。
そんな結果を見ると、
「夏休みの勉強方法が間違っていたのでは?」
「もっと勉強時間を増やさないといけない?」
「このままで志望校に合格できるの?」
と、親御さんが不安になるのも無理はありません。
しかし、28年間中学受験の指導をしてきた私からすると、9月の成績だけを見て、夏休みの勉強の成果を判断するのは早すぎます。
夏休みに頑張ったことが、すぐに偏差値として表れるとは限らないからです。
この記事では、
- なぜ夏休み明けに成績が伸びないのか
- 夏休みの勉強が無駄だったわけではない理由
- 9月に親がやってはいけないこと
- 9月から何をすればいいのか
について、具体的に解説します。
夏休み明けに成績が伸びないのは珍しくありません
まず、最初に知っておいてほしいことがあります。
夏休み明けの模試で成績が思ったように伸びなかったとしても、それだけで「夏休みの勉強に失敗した」と考える必要はありません。
なぜなら、夏休みの勉強には「成果が表れるまでの時間差」があるからです。
夏休みは「自分だけ」が頑張っているわけではない
夏休みに入ると、多くの受験生が一気に勉強量を増やします。
普段より長い時間、塾で授業を受ける。
家庭学習の時間も増える。
夏期講習で、それまでの復習にも取り組む。
つまり、
自分の子どもが頑張ったからといって、周りの受験生が勉強していないわけではありません。
これは偏差値を考えるうえで非常に重要です。
例えば、夏休みに子どもが一生懸命勉強して、
「前より10問多く解けるようになった」
としても、周りの受験生も同じように力を伸ばしていれば、偏差値が大きく上がらないことがあります。
ですから、
「あれだけ勉強したのに偏差値が上がらない」
というだけで、勉強が無駄だったと判断するのは早いのです。
夏に勉強した内容が、すぐ点数になるとは限らない
勉強の成果は、一直線に表れるわけではありません。
例えば算数なら、
① 解き方を覚える
↓
② 例題なら解ける
↓
③ 類題も解ける
↓
④ 少しひねった問題にも対応できる
↓
⑤ 初めて見る問題でも使える
という段階があります。
夏休みに①や②まで進んだとしても、9月の模試ですぐに⑤ができるとは限りません。
ここにはどうしても時間が必要です。
私は長年、生徒を指導してきましたが、
「勉強した直後のテストでは結果が出なかったのに、その後じわじわ成績が上がってきた」
というケースを何度も見てきました。
だからこそ、9月の模試だけを見て、
「夏休みの勉強は失敗だった」
と決めつけないでほしいのです。

なぜ夏休み明けに成績が伸びないのか?5つの理由
では、具体的にどんな理由が考えられるのでしょうか。
① 周りの受験生も一気に勉強している
先ほども説明したように、夏休みは受験生全体の勉強量が増えます。
そのため、
「かなり頑張ったのに偏差値は変わらない」
ということが起こります。
これは、お子さんが成長していないという意味ではありません。
偏差値はあくまで周りとの位置関係を表す数字です。
夏休みに力をつけたことと、偏差値が上がることは、必ずしも同時ではありません。
② 夏に勉強した内容が「使える状態」になっていない
「夏休みに算数をたくさん勉強しました」
これは非常に大切なことです。
ただし、
勉強した=本番で使える
とは限りません。
例えば、
「この問題は比を使う」
と教えてもらえば解ける。
ところが、模試では、
「これは比の問題です」
とは書いてありません。
問題文を読んで、
「これは比を使えば解ける」
と自分で判断しなければいけません。
この「自分で判断する力」が育つには、時間がかかります。
③ 模試の出題範囲と夏の勉強内容が一致していない
夏休みに重点的に取り組んだ内容が、次の模試にたくさん出るとは限りません。
例えば、
夏休みに算数の苦手単元を重点的に勉強した。
ところが、9月の模試ではその単元がほとんど出なかった。
これなら、夏休みの努力が偏差値に反映されなくても不思議ではありません。
「勉強した量」と「今回のテストで得点できる量」は同じではない
ということを覚えておいてください。
④ 苦手分野を勉強しただけで、得点力が上がったとは限らない
苦手単元を克服することは大切です。
しかし、受験では、
「その単元を理解した」
だけでは十分ではありません。
実際の入試問題では、複数の知識や解法を組み合わせて使うことがあります。
そのため、
「分かる」→「解ける」→「時間内に正解できる」
というところまで持っていく必要があります。
夏休みに「分かる」段階まで進んだのであれば、それも立派な前進です。
⑤ 夏の疲れが9月に出ている
夏休みは、子どもにとってかなり負荷の高い時期です。
朝から学校のない生活になり、塾の夏期講習が続き、家庭学習も増える。
その疲れが9月に出ることもあります。
「9月になったから、さらに勉強時間を増やそう」
と考える前に、
睡眠時間や生活リズムが崩れていないか
も確認してみてください。
9月に親が絶対にやってはいけないこと

夏休み明けの成績を見たとき、親御さんが焦ってしまうのは当然です。
ただし、ここでの対応を間違えると、子どもがさらに苦しくなることがあります。
「夏休みにあれだけ勉強したのに!」と責める
これは避けたい言葉です。
子どもからすると、
「自分なりに頑張ったのに認めてもらえない」
という気持ちになってしまいます。
成績が伸びなかった原因を探すことと、子どもを責めることは別です。
まずは、
「夏休み、よく頑張ったね。じゃあ今回のテストを一緒に見てみようか」
くらいの声かけから始めましょう。
勉強時間をさらに増やそうとする
成績が悪い
↓
もっと勉強しなければ
↓
勉強時間を増やす
という考え方になりがちです。
しかし、問題が「勉強量」ではなく、
勉強のやり方や、できていない部分の見極め
にある可能性もあります。
闇雲に時間を増やす前に、まず原因を確認しましょう。
すぐに塾や家庭教師を変えようとする
1回の模試の結果だけで、
「今の塾ではダメなのかもしれない」
と判断するのもおすすめしません。
もちろん、指導方針が合っていないなど、環境を変えたほうがよいケースもあります。
しかし、
「今回の偏差値が低かった」=「塾が悪い」
とは限りません。
まずは、どこで点を失っているのかを確認してください。
すぐに志望校を下げようとする
これも9月の1回の模試だけで判断する必要はありません。
もちろん、秋以降の成績や過去問の結果を見ながら、現実的な受験校を考えていくことは大切です。
ただ、
1回の模試の数字だけで、親が先に可能性を閉じてしまう必要はありません。
9月から親がやるべきこと【4ステップ】

では、何をすればいいのでしょうか。
私は、まず次の4つをおすすめします。
STEP1 9月の模試を「点数」ではなく「失点原因」で見る
最初にやってほしいのがこれです。
例えば算数で10問間違えていたとします。
その10問を、
- 知識・公式を知らなかった
- 計算ミス
- 問題文の読み間違い
- 時間が足りなかった
- 解き方が分からなかった
- 本当は解けたのに間違えた
などに分けてみます。
すると、
「偏差値が下がった」
という大きな問題が、
「計算ミスが3問あった」
「時間不足が2問あった」
という具体的な問題に変わります。
ここまで分かれば、次に何をすればいいのかが見えてきます。
STEP2 夏休みに勉強した内容を確認する
ここで確認してほしいのは、
「やったかどうか」ではありません。
見るべきなのは、
「今、一人で解けるか」
です。
夏休みに解いた問題を、時間を空けてもう一度解いてみましょう。
そこで、
「前は解説を見ながらだったけど、今は自力で解ける」
のであれば、確実に成長しています。
STEP3 9月は「できる問題を確実に取る」ことを意識する
受験勉強というと、
「難しい問題を解けるようにしなければ」
と考えがちです。
しかし、秋以降は、
本来取れる問題を落とさないこと
も非常に重要になります。
特に、
- 計算問題
- 基本問題
- 一度勉強した典型問題
- 知識問題
などで失点していないかを確認してください。
難問を1問解けるようになるより、今まで落としていた基本問題を3問確実に取れるようになるほうが、テストの点数につながることもあります。
STEP4 10月に向けて弱点を1~2個に絞る
ここは非常に重要です。
成績が悪かったとき、
「算数も国語も理科も社会も全部やらなきゃ!」
となってしまうと、結局どれも中途半端になりがちです。
まず、
「今、一番点数を伸ばしやすいところはどこか?」
を考えてください。
例えば、
「算数の計算ミスを減らす」
「国語の記述で部分点を取れるようにする」
など、具体的な目標にします。
一度に全部直そうとしないこと。
これは秋以降の受験勉強で、とても大切な考え方です。
9月の成績より「この3つ」を見てください
偏差値以外にも、ぜひ見てほしいものがあります。
① 夏前にはできなかった問題ができるようになったか
以前は解けなかった問題を、今は解ける。
これは立派な成長です。
たとえ今回の模試に出なかったとしても、その力はこれからの学習の土台になります。
② 同じミスを繰り返す回数が減ったか
計算ミスがゼロにならなくても、
「以前は毎回3~4問間違えていたのが、今回は1問だった」
のであれば、改善しています。
成績は「上がった・下がった」だけでなく、
ミスの質と量
を見ることも大切です。
③ 子ども自身が「何が苦手か」を説明できるようになったか
これも大きなポイントです。
例えば、
「算数が苦手」
だけでは、まだ具体性がありません。
それが、
「割合の文章題になると、何を求めればいいのか分からなくなる」
と言えるようになったら、かなり違います。
自分の弱点を言葉にできることは、成績を伸ばすための大切な一歩です。
それでも成績が伸びない場合はどうする?
ここまでやっても、なかなか成績が上がらない場合もあります。
そのときに大切なのは、
「成績が伸びない」という言葉で終わらせないこと
です。
例えば、
「算数の偏差値が伸びない」
なら、
- 計算は取れているのか
- 基本問題は取れているのか
- 中級問題で失点しているのか
- 時間が足りないのか
- 特定の単元だけ苦手なのか
まで掘り下げてください。
「算数が苦手」ではなく、
「速さの問題で時間を使いすぎて、最後の大問までたどり着けていない」
まで分かれば、対策は変わります。
そして、1回の模試だけで判断するのではなく、複数回のテストを比較して傾向を見ることも大切です。
【中学受験】秋の模試で偏差値急降下…合格判定30%から逆転する「正しい見直し術」
まとめ|夏休み明けの成績だけで焦らなくて大丈夫です
夏休みに一生懸命勉強したのに、9月の模試で成績が伸びない。
これは、決して珍しいことではありません。
大切なのは、
「偏差値が上がったか、下がったか」だけで夏休みの成果を判断しないことです。
夏休みに身につけた力が、実際の得点力として表れるまでには時間がかかることがあります。
9月は、
- 模試を失点原因から分析する
- 夏に勉強した内容が一人で解けるか確認する
- 取れる問題を確実に取る
- 10月に向けて弱点を1~2個に絞る
この4つを意識してください。
そして、親御さんにはもう一つ覚えておいてほしいことがあります。
9月の模試は「夏休みの通知表」ではありません。
9月の結果を見て、
「夏休みに頑張ったのにダメだった」
と判断するのではなく、
「この結果から、10月に何を変えればいいのか?」
を考えてください。
中学受験は、1回の模試で合否が決まるものではありません。
夏に積み上げたものを、秋から少しずつ得点につなげていく。
そのための9月だと考えてください。
焦る必要はありません。
ここからの一つひとつの修正が、秋以降の成績、そして入試本番につながっていきます。
これからですよ、これからです!

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