中学受験をするご家庭では、6年生になると第一志望校について考える機会が増えてきます。
一方で、意外と悩むのが「併願校をいつ決めればいいのか」という問題です。
このような相談を、私はこれまで数多く受けてきました。
結論から言うと、併願校は6年生の秋頃から具体的に検討し、入試日程や学校の特徴などを確認しながら、少しずつ絞っていくのがおすすめです。
ただし、秋の時点で必ずすべての受験校を確定させなければならない、というわけではありません。
この記事では、28年間にわたって中学受験を指導してきた経験から、併願校を決める時期と、決めるときに親が確認しておきたいポイントについて解説します。
併願校はいつ頃までに決める?
併願校については、6年生の秋頃から具体的に考え始めるご家庭が多くなります。
夏休みまでは、第一志望校を中心に学力を伸ばすことを優先していても、秋になると模試の結果や過去問の状況などから、受験校を現実的に考える必要が出てきます。
特に6年生の9月以降は、
「現在の成績でどの学校が受験可能なのか」
「第一志望校以外にどの学校を受けるのか」
「入試日程が重なっていないか」
といったことを確認していきます。
ただし、ここで大切なのは、秋になったからといって慌てて併願校を決める必要はないということです。
模試の結果は1回だけで判断するものではありません。
秋から冬にかけての成績の推移、過去問の出来具合、本人の希望なども考えながら、少しずつ受験校を具体化していけばよいでしょう。
6年生の秋から併願校を考える理由
では、なぜ6年生の秋頃から併願校を考え始めるのでしょうか。
大きな理由の一つは、受験本番までの残り時間が少なくなってくるからです。
6年生の秋になると、入試まで数か月しかありません。
この時期からは、第一志望校の合格を目指して勉強するだけではなく、
「もし第一志望校が厳しかった場合、どの学校を受験するのか」
「第一志望校と同じくらい行きたい学校はあるか」
「合格を確保するための学校をどうするか」
といったことも考えておく必要があります。
また、併願校について調べておけば、過去問対策にも余裕が生まれます。
受験直前になってから、
「この学校も受けよう」
と突然決めると、過去問を解く時間が十分に取れない場合があります。
そのため、秋頃から候補を絞り、必要な学校については少しずつ準備を始めておくことが大切です。
併願校の具体的な組み方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→【中学受験】全落ちを防ぐ!秋から考える失敗しない併願校の組み方
併願校を決めるときに親が確認したい5つのポイント

併願校を決めるとき、偏差値だけを見てしまうご家庭があります。
もちろん偏差値は大切な判断材料ですが、それだけで決めるのはおすすめしません。
次の5つを確認してみてください。
入試日程
まず確認したいのが、入試日程です。
どんなに魅力的な学校でも、第一志望校や他の併願校と入試日が重なっていれば、受験することはできません。
また、午前入試・午後入試など、学校によって入試時間も異なります。
複数の学校を受験する場合は、単純に学校名を並べるだけではなく、
「1月○日 A校」
「2月1日 B校」
「2月2日 C校」
というように、実際の受験スケジュールとして考えてみることが大切です。
偏差値・合格可能性
次に、現在の学力との距離を確認します。
ここでも「偏差値が低い学校を選べばいい」という単純な話ではありません。
模試の合格可能性、最近の成績の推移、得意・不得意などを合わせて考える必要があります。
特に6年生の秋は、1回の模試の結果だけで判断しないようにしましょう。
「前回は厳しかったけれど、その後の模試では上がっている」
「偏差値はそれほど高くないけれど、過去問との相性が良い」
というケースもあります。
過去問との相性
私は、併願校を考えるときに過去問との相性も非常に重要だと考えています。
偏差値だけを見ると少し難しそうな学校でも、実際に過去問を解いてみると点数が取れることがあります。
反対に、模試の偏差値では十分に届いているように見えても、過去問を解くと思ったように点数が取れない学校もあります。
学校によって問題の傾向はかなり違います。
そのため、候補校が決まったら、可能な範囲で過去問を確認しておきましょう。
通学時間
合格可能性や偏差値だけでなく、通学時間も確認しておきたいポイントです。
中学校に入学すれば、基本的には毎日通うことになります。
「合格できそうだから」という理由だけで決めるのではなく、
「自宅から学校までどのくらいかかるのか」
「乗り換えは何回あるのか」
「朝の時間帯に無理なく通えるのか」
なども確認しておきましょう。
実際に朝の時間帯に学校まで行ってみると、普段とは違った印象を受けることもあります。
子ども本人の気持ち

最後に、ぜひ大切にしてほしいのが子ども本人の気持ちです。
親から見ると、
「この学校なら合格できそう」
「大学進学実績が良い」
と思っていても、子ども本人がまったく行きたいと思っていない場合があります。
もちろん受験ですから、すべてを子どもの希望だけで決める必要はありません。
しかし、実際に通うのは子どもです。
学校説明会や文化祭などに参加して、
「この学校なら通ってみたい」
と思える学校なのかを、本人にも確認しておくことをおすすめします。
学校選びでは、偏差値以外にも確認しておきたいポイントがあります。
→【中学受験】志望校はどう選ぶ?偏差値だけで決めない8つのポイント!
併願校がなかなか決まらないときに親がやること
「候補校はいくつかあるけれど、なかなか決められない」
というご家庭も少なくありません。
その場合は、最初から1校に決めようとしなくても大丈夫です。
まずは候補を3~5校程度に絞り、
「この学校は受験日程が合う」
「この学校は過去問との相性が良い」
「この学校は本人が気に入っている」
など、それぞれの学校のメリットと気になる点を書き出してみましょう。
そして、模試の結果や過去問の出来具合を見ながら、少しずつ整理していきます。
また、塾に通っている場合は、担当の先生に相談するのも一つの方法です。
その際、
「この学校を受けたほうがいいですか?」
と聞くだけではなく、
「現在の成績なら、どのあたりの学校を併願校として考えるのが現実的でしょうか?」
「この学校とこの学校なら、どちらが子どもに合っていると思いますか?」
など、具体的に聞いてみるとよいでしょう。
併願校は「安全校」だけで考えなくてもいい
「併願校=絶対に合格できる学校」と考えてしまう方もいます。
しかし、実際の受験では、第一志望校以外にも複数の学校を検討することがあります。
そのため、
「少し挑戦してみたい学校」
「第一志望校と同じくらい行きたい学校」
「合格を確保したい学校」
など、役割の違う学校を組み合わせて考える方法があります。
ただし、「安全校だから大丈夫」と油断するのも危険です。
入試には何が起こるかわかりません。
過去問を解いてみて十分な点数が取れているか、入試日程に無理がないか、本人が本当に通いたいと思っているかなどを確認しておきましょう。
併願校を決めたら、次は過去問をどのように進めるかも重要になります。
→【中学受験】過去問は何年分やる?第一志望・併願校で変える正しい進め方
28年間の指導経験から、併願校選びで感じること

私はこれまで28年間、中学受験の指導に携わってきました。
その中で感じるのは、併願校は「偏差値だけ」で決めないほうがいいということです。
もちろん、受験ですから合格可能性を考えることは重要です。
しかし、実際には、
「過去問をやってみたら、この学校の問題のほうが点数が取れる」
「学校説明会に行ったら、子どもが思った以上に気に入った」
「通学時間を調べたら、毎日通うには少し大変だった」
といったことがあります。
また、保護者の方が「この学校がいい」と思っていても、お子さん自身は別の学校を気に入っていることもあります。
だからこそ、6年生の秋になったら、偏差値表だけを見るのではなく、実際の学校・入試問題・通学時間・子どもの気持ちまで含めて考えてほしいと思います。
併願校選びは、単に「第一志望に落ちたときのための学校」を決める作業ではありません。
「この学校に合格したら、ここに通う」というところまで考えて選ぶことが大切です。
以前、実際にこういうことがありました。
第一志望校には惜しくも力及ばず、第二志望校に進学されました。第二志望校は偏差値、校風、通学時間などを加味して決定されたそうです。ところが実際に通学してみると、電車とバスの通学でしたが、乗り換え(2回)の時間が長く、思ったよりも通学に時間がかかったそうです。
6年間、無事に通学し卒業されましたが、その親御さんは、受験前に朝の同じ時間帯に、実際に学校まで行ってみるべきだったとおっしゃっていました。
まとめ|併願校は6年生の秋から少しずつ具体化しよう
中学受験の併願校は、6年生の秋頃から具体的に検討していくとよいでしょう。
ただし、秋の時点ですべてを決定する必要はありません。
模試の結果、過去問の出来具合、入試日程、通学時間、学校の特徴、そして子ども本人の気持ちなどを確認しながら、少しずつ絞っていけば大丈夫です。
特に大切なのは、偏差値だけで併願校を決めないことです。
「合格できそうか」だけではなく、
「実際に通いたい学校なのか」
「入試問題との相性はどうか」
「無理なく通学できるのか」
という視点も持っておきましょう。
6年生の秋になってから慌てるのではなく、まずは候補校をいくつか挙げて、親子で少しずつ比較してみてください。
そうすることで、受験直前になってから慌てて受験校を決めることを防ぎやすくなります。

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