中学受験の6年生の保護者の方から、このような相談を受けることがあります。
特に6年生の後半になると、算数や国語だけでなく、理科や社会についても「まだ覚えられていないことがたくさんある」と焦ってしまうものです。
社会は覚えることが多いため、「今から全部覚え直さなければ」と考えてしまう保護者の方も少なくありません。
しかし、6年生になって社会が苦手だからといって、もう成績を伸ばせないわけではありません。
むしろ6年生だからこそ、「何を覚えるか」「何を復習するか」の優先順位を決めることが大切です。
私はこれまで28年間、中学受験の指導に携わってきました。
その中で感じるのは、「社会が苦手」と言っているお子さんでも、実際にテストを詳しく見てみると、社会のすべてが苦手というわけではないケースが多いということです。
地理は取れているけれど歴史が苦手。
歴史の知識はあるけれど、資料問題になると点数を落とす。
覚えているのに、選択肢になると迷ってしまう。
このように原因を分けて考えると、やるべきことが見えてきます。
この記事では、6年生で社会が苦手なお子さんが、今から成績を伸ばすために何を優先すればよいのか、保護者の方に向けて解説します。
6年生で社会が苦手でも、今から伸ばせる
まず、保護者の方にお伝えしたいのは、6年生からでも社会の成績は伸ばせるということです。
まあ当然と言えば当然ですが、勉強するのですから成績が伸びる可能性はありますね。
社会は、算数や国語と比べると、短期間でも勉強したことが点数につながりやすい部分があります。
もちろん、何でも一気に覚えればよいというわけではありません。
受験までの時間が限られているからこそ、今のお子さんに必要な勉強を選ぶことが重要です。
例えば、模試で社会が50点だったとします。
この50点をいきなり80点にしようとすると、かなり大変に感じるでしょう。
しかし、間違えた問題を一つずつ確認してみると、
「知っていたのに忘れていた」
「教科書やテキストには載っていたけれど、復習していなかった」
「選択肢の意味を読み違えた」
「資料を読み取れなかった」
という問題が見つかるかもしれません。
こうした問題を一つずつ減らしていけば、まず5点、10点と点数を増やしていくことができます。
大切なのは、「社会が苦手」と大きく考えすぎないことです。
要はちょっとしたことで点数を失っているかもしれないということです!
→【中学受験】6年生で算数が苦手…今から成績を伸ばすために親がやるべきこと!
まず「社会が苦手」の原因を確認する

社会が苦手と言っても、原因はお子さんによって違います。
まずは、どこで点数を落としているのかを確認してみましょう。
地理の知識が苦手
地理では、都道府県、地形、気候、農業、工業、貿易など、覚えることがたくさんあります。
そのため、地理の知識があやふやだと、問題を解くことが難しくなります。
ただし、すべてを最初から覚え直す必要はありません。
模試や塾のテストで間違えたところから、「自分が覚えられていない分野」を見つけていきましょう。
例えば、農業はできているけれど工業が苦手というのであれば、工業を優先して復習します。
歴史の流れが分からない
歴史が苦手なお子さんの場合、人物名や出来事を一つずつ暗記していても、なかなか点数につながらないことがあります。
歴史は、単語だけを覚えるのではなく、
「何が起こったのか」
「なぜ起こったのか」
「その後どうなったのか」
という流れを理解することが大切です。
例えば、人物名だけを覚えるのではなく、その人物が「いつ」「何をしたのか」を一緒に確認していくと、知識がつながりやすくなります。
公民が苦手
6年生になってから公民の勉強が本格的に始まり、「公民がよく分からない」というお子さんもいます。
日本国憲法、国会、内閣、裁判所、選挙など、普段の生活ではあまり意識しない内容が出てくるためです。
公民は用語を覚えるだけではなく、「それぞれがどのような役割を持っているのか」を理解することが大切です。
まずは基本的な用語と仕組みを整理しましょう。
資料・グラフ問題が苦手
社会では、地図、統計、グラフ、写真、資料などを使った問題も出題されます。
このタイプの問題になると、知識はあるのに点数が取れないお子さんもいます。
その場合は、暗記だけを増やしても解決しないことがあります。
「この資料から何が分かるのか」
「この数字は何を表しているのか」
「選択肢のどこが資料と違っているのか」
を確認する練習が必要です。
覚えてもすぐ忘れてしまう
「昨日覚えたはずなのに、今日になると忘れている」
ということも、社会ではよくあります。
これは決して珍しいことではありません。
社会の知識は、一度覚えただけですべて定着するわけではありません。
大切なのは、忘れたことを責めるのではなく、何度も思い出す機会を作ることです。
6年生の社会は「全部やり直す」必要はない
社会が苦手だと、「地理から全部やり直そう」と考えてしまうことがあります。
しかし、6年生の後半になると、受験までの時間は限られています。
今まで勉強してきた内容をすべて最初からやり直すと、本当に必要な復習に時間を使えなくなる可能性があります。
まず確認したいのは、
「今、どこで点数を落としているのか」
です。
例えば、模試で60点だったとしても、間違えた40点分がすべて「全く知らない問題」ではないかもしれません。
その中に、
- 覚えていたのに忘れていた
- 基本知識があれば解けた
- 問題文を読み違えた
- 資料を見れば答えられた
という問題が含まれているのであれば、そこから取り戻していけばよいのです。
6年生では、「知らないことを全部覚える」よりも、「知っているのに落としている問題を減らす」ことも非常に重要です。
社会が苦手な6年生が優先したい勉強
では、実際に何から始めればよいのでしょうか。
塾のテキストの基本事項を確認する
まずは、現在使っている塾のテキストを活用しましょう。
新しい教材を買う前に、これまで使ってきた教材を十分に復習できているか確認してください。
特に、授業で扱った内容なのに、テストで間違えているところは優先して復習します。
「新しい問題をたくさん解く」よりも、「今まで勉強した内容を確実にする」ことを先に考えましょう。
→【中学受験】塾のテキストと市販の問題集、どっちをやる?家庭学習で迷ったときの選び方!
間違えた問題をもう一度解く
模試や塾のテストは、点数を見るだけではもったいありません。
間違えた問題を見て、
「これは知らなかったのか」
「忘れていたのか」
「問題の読み方を間違えたのか」
を確認しましょう。
そして、同じタイプの問題が出たときに答えられるようにします。
歴史は「流れ」を意識する
歴史が苦手なお子さんは、人物名や年号をバラバラに覚えようとしがちです。
もちろん、重要な年号や人物を覚えることは必要です。
ただ、それだけではなく、
「この出来事の前に何があったのか」
「この出来事によって何が変わったのか」
を確認していきましょう。
歴史の流れが分かるようになると、バラバラだった知識がつながっていきます。
地理は地図や資料と一緒に覚える
地理では、単語だけを暗記するよりも、地図や統計資料などと一緒に確認することをおすすめします。
例えば、「この県では何が盛んか」だけを覚えるのではなく、
「なぜそこでその農業や工業が盛んなのか」
まで考えてみます。
理由が分かると、単なる丸暗記よりも知識が残りやすくなります。
公民は仕組みを理解してから覚える
公民では、用語を一つずつ暗記するだけでは混乱しやすくなります。
まずは、
「国会は何をするところなのか」
「内閣にはどのような役割があるのか」
「裁判所は何をするのか」
といった基本的な仕組みを理解しましょう。
そのうえで細かい知識を覚えていくほうが、整理しやすくなります。
資料問題にも慣れておく
入試では、単純な一問一答だけではなく、資料を見て考える問題もあります。
そのため、知識の暗記だけで終わらせず、資料問題にも取り組みましょう。
ただし、いきなり難しい問題を大量に解く必要はありません。
まずは、塾のテキストや模試で出てきた資料問題を使って、
「何を表している資料なのか」
を確認するところから始めれば十分です。
意外と資料問題で失点しているケースは多いです。
データをとったわけではありませんが、指導していてよくあるのが、
・グラフの横軸と縦軸が何を表しているのかを確認していない。
・グラフの特徴(原点を通る直線だったら比例の関係)をつかまない
・表の見出しを読んでいない。
・数字の大小を見ていない
など、「あと少しだけ意識すれば解けていたのに…」がとても多いです。
親がやってはいけない社会の勉強のさせ方

社会の成績が伸びないとき、保護者の方が一生懸命になるほど、勉強量を増やしてしまうことがあります。
しかし、やり方によっては、お子さんが社会の勉強を嫌になってしまうこともあります。
「社会は暗記だから全部覚えなさい」と言う
社会には暗記が必要な部分がたくさんあります。
ただ、社会の入試問題は単純な一問一答だけではありません。
資料を読み取ったり、複数の知識を組み合わせたりする問題もあります。
「とにかく覚えなさい」だけではなく、覚えた知識を問題で使えるようにすることも意識しましょう。
一度に大量の暗記をさせる
一日で大量の知識を覚えさせようとしても、すべてが定着するとは限りません。
むしろ、覚えられないことでお子さんが自信を失ってしまうこともあります。
少しずつ覚え、何度も確認するほうが、結果的に効率がよい場合があります。
間違えた問題を責める
「この前やったのに、また間違えた」
「何回言ったら覚えるの?」
という言葉は、できなかったこと以上に、お子さんの気持ちを苦しくしてしまうことがあります。
社会の知識は忘れることがあります。
忘れたら、もう一度覚えればいいのです。
大切なのは、「なぜ覚えられなかったのか」を責めることではなく、次に答えられるようにすることです。
問題集を次々に増やす
成績が伸びないと、別の問題集を買いたくなることがあります。
しかし、教材を増やす前に、今使っている教材を十分に復習できているかを確認してください。
特に6年生の後半は時間が限られています。
教材を増やすよりも、今ある教材を繰り返し使うほうがよい場合も多くあります。
6年生の社会は「何点取れるか」を考える
社会が苦手なお子さんに、「社会を得意科目にしよう」と言う必要はありません。
もちろん、社会が得意になれば大きな武器になります。
しかし、受験勉強では、すべての科目を完璧にすることが目的ではありません。
大切なのは、
「志望校に合格するために、社会で何点取ればよいのか」
を考えることです。
例えば、現在50点のお子さんなら、
「まず55点を安定して取れるようにする」
という目標でも構いません。
そのために、
「この10問のうち、あと3問取れるようにしよう」
と具体的に考えます。
社会の勉強をするときも、
「社会が苦手だから何とかしなければ」
ではなく、
「あと5点取るためには、どこを復習すればよいか」
と考えてみてください。
この考え方をすると、やるべきことがかなり明確になります。
28年間の中学受験指導で感じる、社会が苦手な子の伸ばし方
28年間、中学受験の指導をしてきて感じるのは、社会が苦手なお子さんの中にも、「覚える力がない」のではなく、「覚える内容が整理できていない」ケースがあるということです。
例えば、歴史の人物名はたくさん知っているのに、時代の順番が分からない。
地理の用語は知っているのに、地図と結びついていない。
公民の言葉は覚えているのに、それぞれの役割が整理できていない。
このような場合は、さらに大量の暗記をさせるよりも、一度知識を整理してあげたほうが理解しやすくなることがあります。
また、社会の成績が伸びないときには、間違えた問題だけでなく、**「正解した問題が本当に理解できていたのか」**を見ることも大切です。
たまたま選択肢が当たっただけなのか。
理由まで説明できるのか。
こうしたところまで確認すると、お子さんの本当の理解度が見えてきます。
私は、社会が苦手なお子さんを見るときも、「どれだけ覚えていないか」だけではなく、
「今、何ができていて、あと何をできるようにすれば点数が上がるのか」
を見るようにしています。
6年生の後半は、勉強できる時間にも限りがあります。
だからこそ、全部を完璧にするのではなく、優先順位をつけることが大切です。
まとめ|6年生の社会は「苦手」ではなく「どこを伸ばすか」を考えよう
6年生になって社会が苦手だと、「もう間に合わないのでは」と不安になるかもしれません。
しかし、6年生からでも社会の点数を伸ばすことはできます。
大切なのは、社会を最初から全部やり直すことではありません。
まずは、
- 地理が苦手なのか
- 歴史が苦手なのか
- 公民が苦手なのか
- 知識問題が苦手なのか
- 資料問題が苦手なのか
- 覚えたことを忘れてしまうのか
を確認してみてください。
そして、塾のテキストや模試などを使って、今の自分に必要なところから復習することが大切です。
社会は覚えることが多い科目だからこそ、「全部覚えなければ」と考えると苦しくなってしまいます。
そうではなく、
「今の点数から、あと5点取るにはどうすればいいか」
と考えてみてください。
知っているのに間違えている問題を減らす。
忘れていた知識をもう一度覚える。
苦手な単元を一つずつ整理する。
こうした積み重ねによって、少しずつ得点できる問題を増やしていきましょう。
6年生の社会で大切なのは、**「社会を完璧にすること」ではなく、「今の自分に必要な点数を取れるようにすること」**です。
お子さんが「社会が苦手」と言ったときには、その言葉だけで判断せず、
「どこが苦手なのかな?」
「あと5点取るなら、どこを勉強すればいいかな?」
と一緒に考えてあげてください。
それが、6年生から社会を立て直すための第一歩になります。

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