「志望校は、どうやって選べばいいのでしょうか?」
中学受験を考えているご家庭なら、一度は悩む問題ではないでしょうか。
特に6年生になると、模試の結果や偏差値、過去問の点数など、いろいろな情報が出てきます。
このように、志望校選びに迷う保護者の方は少なくありません。
実際、先日、私が受け持っている生徒の保護者の方から、
「皆さん志望校はどういう観点で選んでいるのでしょうか」
という質問を受けました。
そのご家庭は通塾しておらず、中学受験に関する情報を得る機会が少ないため、どのような基準で学校を選べばよいのか分からないということでした。
そこで私は、これまで28年間、中学受験の指導をしてきた中で、多くのご家庭が志望校を決める際に考えてきたポイントをお伝えしました。
それが、
「偏差値だけで志望校を決めない」
ということです。
もちろん、模試の判定や偏差値は大切な判断材料です。
しかし、中学校に入学してから実際に6年間通うのは、お子さん本人です。
だからこそ、偏差値だけではなく、いくつかの視点から学校を見ていくことが大切です。
この記事では、中学受験の志望校を選ぶときに考えておきたい8つのポイントを、28年間の指導経験をもとに解説します。
中学受験の志望校は「偏差値だけ」で決めない
まず最初にお伝えしたいのは、
偏差値が高い学校ほど、その子にとって良い学校とは限らない
ということです。
もちろん、合格可能性を考えるうえで、偏差値や模試の判定は重要ですね。
しかし、それだけを見て志望校を決めてしまうと、
「入学してみたら、子どもに合わなかった」
ということになってしまう可能性があります。
中学校は、高校受験をする場合を除けば、基本的に6年間過ごす場所です。
そのため、
「合格できるか」
だけではなく、
「この学校で6年間過ごしたいと思えるか」
という視点も持っておきたいところです。
では、実際にどのようなことを考えればよいのでしょうか。
これまで指導させていただいたご家庭からたくさんのご相談を受けてきまして、
どのような考えや観点で志望校を選んでいらっしゃるかと言いますと
以下の通りです!
志望校選びで考えたい8つのポイント
① 模試の判定・偏差値
まず確認したいのが、模試の判定や偏差値ですね。
これは志望校を考えるうえで、非常に分かりやすい判断材料になります。
現在の学力と志望校との距離を知るためには、模試の結果を確認することは欠かせません。
ただし、ここで注意したいのが、
「模試の判定=合否の確定」ではない
ということです。
例えば、現在の判定が思わしくなかったとしても、それだけで志望校を諦める必要があるとは限りません。
6年生の秋以降も学力は変化しますし、得意・不得意によって伸び方も違います。
また、模試と実際の入試問題では、問題の形式や難易度が異なります。
そのため、
模試の偏差値・判定だけで志望校を決めない
ことが大切です。
「今の自分の位置を知るための資料」として、冷静に利用しましょう。
② 過去問との相性
志望校選びでは、模試だけでなく過去問との相性も大切ですね。
同じような偏差値帯の学校でも、入試問題の傾向は大きく異なります。
例えば、
- 計算問題が多い学校
- 思考力を問う問題が多い学校
- 記述問題が多い学校
- 長文読解が中心の学校
- 理科や社会で細かい知識を問う学校
など、学校によって特徴があります。
そのため、偏差値だけを見ると「少し難しいかな」と感じる学校でも、実際に過去問を解いてみると、
「この学校の問題は意外と解きやすい」
「もうちょっと頑張ればいけるかもしれない」
ということがあります。
逆に、偏差値上は十分届いている学校でも、問題との相性があまり良くないケースもあります。
だからこそ、6年生の秋以降は、
「偏差値」と「過去問」の両方を見る
ことをおすすめします。
過去問は、ただ何年分解いたかを競うものではありません。
問題を解いて、どこができて、どこができなかったのかを分析することが重要です。
過去問の始める時期については、こちらの記事も参考にしてください。
→【中学受験】過去問はいつから始める?6年生の秋に始める正しいタイミングと進め方
また、過去問を何年分解くかについてはこちらで詳しく解説しています。
→【中学受験】過去問は何年分やる?第一志望・併願校で変える正しい進め方
③ 通学時間・通学ルート
意外と忘れられやすいのが、通学時間と通学ルートです。
学校案内などを見ると、
「自宅から約○分」
と書かれていることがあります。
しかし、実際には時間だけでなく、
「毎日このルートを使って6年間通えるか」
という視点で考えてみてください。
例えば、
- 電車の乗り換えが何回あるのか
- 朝の時間帯はどのくらい混雑するのか
- 駅から学校まで歩く時間はどのくらいか
- バスを利用する必要があるのか
- 遅延が起きた場合にどうなるのか
などです。
受験前には「合格すること」に意識が集中しがちですが、合格した後は毎日学校へ通うことになります。
特に6年間という長い期間を考えると、通学の負担は決して小さくありません。
可能であれば、実際に受験する前に、朝の時間帯に近い条件で通学ルートを体験してみるとよいでしょう。
④ 学校の教育方針や設備
学校の教育方針も、ぜひ確認しておきたいポイントです。
「偏差値が○○だから」という理由だけで学校を選ぶのではなく、
「この学校は、どのような教育をしているのか」
を見てみましょう。
例えば、
- 大学受験に力を入れている
- 英語教育に力を入れている
- 探究学習を重視している
- 理系教育に力を入れている
- 部活動が盛ん
- ICT教育に力を入れている
など、学校によって特色がありますね。
また、校舎や図書館、体育施設、グラウンド、理科室などの設備も学校生活に関わってきます。
学校説明会や文化祭などの機会があれば、パンフレットだけでは分からない部分も実際に見てみましょう。
できれば、2回、3回と複数回いかれることをおすすめします。
1回の見学ではわからなかったことが見えてくるからです。
⑤ 系列の大学があるか、ないか
大学付属校や系列大学を持つ学校を志望校として検討する場合は、
「系列大学への進学制度がどうなっているのか」
も確認しておきましょう。
大学付属・系列校には、それぞれ特徴があります。
「大学受験の負担を減らして、中高の学校生活を充実させたい」
という考えのご家庭もあれば、
「中学・高校でしっかり勉強して、大学受験で幅広い選択肢を持ちたい」
というご家庭もあります。
ここでも、
どちらが正解ということではありません。
大切なのは、
「わが子が中学・高校の6年間をどのように過ごしてほしいのか」
を考えることです。
⑥ 子ども本人の希望
志望校選びで、私が特に大切にしてほしいと思っているのが、
子ども本人の希望
です。
もちろん、保護者として、
「この学校のほうが大学進学実績が良い」
「こちらの学校のほうが通いやすい」
など、いろいろな考えがあると思います。
しかし、実際に6年間その学校へ通うのは子ども本人です。
例えば、
といった理由で学校を気に入ることもあります。
大人からすると、
「そんな理由で?」
と思ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、子どもにとっては、その「好き」という気持ちが、受験勉強を頑張る大きな原動力になることがあります。
ですから、
「親が行かせたい学校」だけではなく、「子どもが行きたい学校」
という視点も大切にしてほしいと思います。
⑦ 学費
現実的な問題として、学費も必ず確認しておきましょう。
私立中学校の場合、授業料だけではなく、
- 入学金
- 制服代
- 教材費
- 通学費
- 部活動にかかる費用
- 行事にかかる費用
など、さまざまな費用が発生することがあります。
学校によって必要な費用は異なりますので、学校の公式情報などで確認しておきましょう。
「合格してから考えればいい」と思っていると、後になって慌てることになります。
志望校を絞っていく段階で、
「6年間通わせる場合、家庭として無理がないか」
という視点も持っておくことをおすすめします。
⑧ 共学・男子校・女子校
最後に考えておきたいのが、
共学・男子校・女子校のどれを選ぶか
です。
これについても、
「共学が一番良い」
「男子校のほうが良い」
「女子校だから安心」
というように、一概に決めることはできません。
大切なのは、
お子さん自身がどのような環境を希望しているか
です。
また、学校説明会などに参加して、実際の学校の雰囲気を感じてみるのもよいでしょう。
保護者だけで決めてしまわず、子どもと一緒に考えることをおすすめします。
28年間、中学受験を指導してきて感じる「志望校選び」で大切なこと

私は28年間、中学受験の指導をしています。
その中で感じるのは、
「偏差値の高い学校に合格すること」と「その子にとって良い学校に進学すること」は、必ずしも同じではない
ということです。
もちろん、第一志望校に合格することは大きな目標です。
しかし、受験は合格したら終わりではありません。
そこから中学校生活が始まります。
だからこそ、
「この学校に入ったら、うちの子はどんな6年間を過ごすだろう?」
というところまで考えて、志望校を選んでほしいと思っています。
模試の偏差値や判定はもちろん大切です。
しかし、それだけでなく、
過去問との相性、通学のしやすさ、学校の教育方針、子どもの希望、家庭の経済的な負担など、いろいろな条件を合わせて考える。
これが、私がこれまで多くのご家庭にお伝えしてきた志望校選びの考え方です。
6年生の秋に志望校を変更する場合はどうする?
6年生の秋になると、模試の結果を見て、
「このまま第一志望を目指して大丈夫でしょうか?」
と不安になるご家庭も増えてきます。
しかし、模試の判定だけを見て、すぐに志望校を変更するのはおすすめしません。
まずは、
① 模試の結果
② 最近の学習状況
③ 過去問の結果
④ 今後の伸びしろ
⑤ 子ども本人の気持ち
などを総合的に確認しましょう。
特に、過去問を何年か解いているのであれば、
「合格最低点まであと何点なのか」
だけを見るのではなく、
「どの分野で点数を落としているのか」
を見ることが大切です。
また、第一志望校をそのまま目指す場合でも、併願校をどう組むかによって受験全体の安全性は変わってきます。
志望校だけではなく、併願校についても早めに考えておきましょう。
→【中学受験】全落ちを防ぐ!秋から考える失敗しない併願校の組み方
志望校選びで親がやってしまいがちなこと

志望校選びでは、保護者の方が一生懸命になるほど、視野が狭くなってしまうことがあります。
特に気をつけたいのが、
「偏差値だけで学校を決めること」
です。
「偏差値が高いから良い学校」
「今の偏差値では無理だから諦める」
と考えてしまうと、お子さんに合った学校を見落としてしまう可能性があります。
また、
「親が行かせたい学校」だけで決めてしまうこと
にも注意が必要です。
もちろん、保護者の考えも非常に重要です。
しかし、子ども本人の気持ちも聞きながら、一緒に考えていくことが大切です。
迷ったら「6年間通っている姿」を想像してみる
志望校を決めるとき、どうしても、
「合格できるか?」
という視点が中心になります。
これは当然のことです。
しかし、一度だけ、
「この学校に合格したとして、うちの子はここで6年間どんな生活をするだろう?」
と考えてみてください。
毎朝、その学校へ通う。
授業を受ける。
友達と過ごす。
部活動をする。
学校行事に参加する。
そして6年後に卒業する。
そんな姿を想像してみると、
「偏差値だけでは分からなかった学校の魅力」
が見えてくることがあります。
まとめ|志望校は「偏差値+子どもと家庭に合うか」で考えよう
中学受験の志望校選びでは、模試の判定や偏差値は重要な判断材料です。
しかし、偏差値だけで志望校を決める必要はありません。
今回紹介した8つのポイントを、もう一度確認してみましょう。
- 模試の判定・偏差値
- 過去問との相性
- 通学時間・通学ルート
- 学校の教育方針や設備
- 系列大学があるか、ないか
- 子ども本人の希望
- 学費
- 共学・男子校・女子校
すべての項目を同じように重視する必要はありません。
ご家庭によって、
「通学時間を最優先したい」
「子どもの希望を一番大切にしたい」
「大学付属校を希望している」
など、考え方は違います。
だからこそ、
「どの学校が一番良いか」ではなく、「わが子と家庭にとって、どの学校が合っているか」
を考えてみてください。
そして、28年間中学受験を指導してきた私から最後にお伝えしたいのは、
「合格できる学校」を探すだけではなく、「入学した後も子どもが楽しく通える学校」を探してほしい
ということです。
志望校選びに正解は一つではありません。
お子さんと一緒に学校について話し合いながら、納得できる志望校を見つけていきましょう。


コメント